ボーカル・コーラスをしている人にとっては、自身の音域を広げたいと考えている人は多いです。
勿論音域は広いに越したことはないですし、トレーニングの方法もありますが、自分に合ったキーで歌う方が良い事もあるのです。
【自分が出せる音域をまずは知ろう】
声の出し方にも幾つかあります。
・地声 (普段無理なく出している声)
・チェストボイス (胸に響く声ということですが、あくまでイメージであり、科学的には実際に胸に響くわけではありません)
・裏声 (幾つか種類があるがここでは割愛)
これらを無理なく出せる範囲が自分の出せる歌声と考えて下さい。
平均的な男性の音域幅は「MID1 D~hi A(地声)」
平均的な女性の音域幅は「MID1G~hi D(地声) 」
と言われています。
勿論これよりも高い音、低い音で歌える人もいます。
自分の出せる音程を知りたい場合は、ピアノやギターで音を出してみましょう。
その音に合わせて実際に声を出してみます。
高音ばかりが気になりますが、低音もどの程度まで出せるか確認しておきましょうね。
極端な裏声ではない範囲で歌える音程が、自分の出せる音域だと考えて下さい。
【楽曲が自分にとって歌いやすいキーなのか】
貴方が歌う予定の曲がコピーやカバー曲の場合は、カラオケのLIVE DAM等のDAMにある精密採点がお勧めです。
歌うべき音程と、歌った音程が一目で分かるので、どの部分がズレているかが一目瞭然です。
もしマイナーなバンドだと、逆にJOY SOUNDにあるかもしれません。
こちらもにも精密採点の機能はありますので、第2候補として利用しましょう。
オリジナル曲の場合は、メロディーを解読し、音程をピアノ等で表してみましょう。
初歩的な話ですが、キーが分かる事で、メロディーに乗せるコードや、スケールについても判断が出来るので、メロディーの視覚化は作曲には不可欠な要素です。
この時に意識したいのは、その曲の中で最も高い音が出せるからと言って、必ずしも丁寧に歌えるわけではないという事です。
例えば貴方が出せる最高音が、高い音のラまでだったとしましょう。
もしサビが高い音が次から次へと続く場合は、高音が得意でないと続けてその音程をキープする事が難しいのです。
高音はただ出せれば良いのでなく、その楽曲の中で音程がどの高さにあり、自分が無理なく歌える範囲のものかを考える必要があります。
【もし歌いづらいキーの場合はどうするか】
・キーを下げる
最も効果的な方法です。
最高音が自分の歌える範囲に落とし込む事で、無理なく歌う事が出来ます。
よく往年のアーティストが昔の曲をキーを下げて再現している事があるでしょう。
無理に高い音で歌う事で、気持ちよく聴こえるかというとそんな事はなく、逆に無理な裏声や金切り声になってしまい、聴き手に不安感を与えます。
・キーを下げる事が逃げなのではないか?
そう考える人もいるかもしれません。
音域が広い=歌がうまいとは限らないのです。
合った音域で歌うことが、一番多くの人を感動させる歌手への近道です。
貴方が気持ちよく歌える音域こそ、聴く人にとっても1番気持ち良い音域です。
・無理な高音は喉に負担をかける
男女で音域が大きく異なるように、同性間でも得意な音域は全く違います。
特に女性の場合は音域にかなり差が顕著です。
無理に高音を出そうとすると、必ず喉に負担をかけてしまうことになります。
声質が変わってしまい、それまで作成していた曲ともニュアンスが変わってしまうかもしれません。
楽器と異なり、喉は取り換えが出来ません。
当然トレーニングは必要ですが、あくまで無理のない範囲です。
【演奏する側の対応】
もしキーを変更する場合は楽器陣は調整が必要です。
例えば、
C → F → G → Amという楽曲のキーを半音下げる場合は、
B → E → G♯ → Am♯となります。
演奏する側はコードが全て変わるので、非常に面倒な作業にはなります。
弦楽器陣はキーを半音下げるだけの場合は、思い切って半音下げチューニングを行いましょう。
キーを上げる場合は、ギターの場合はカポを使えば簡単ですね。
ベースも半音下げは問題ありませんが、キーを上げる場合はカポを使用しても、開放弦でビビる場合があるので、カポを使用する事は殆どありません。
運指を変更する等の対応が必要になります。
キーボードについては手の形がガラッと変わるので、より大変です。
他にも…
・ボイシングの見直し
・フレーズのオクターブ上げ下げの調整
・全体的な音作りの調整
等沢山あります。
単にキーを変更しただけで演奏しても、要所要所のリフやギターソロのスケールが異なってくるので、違和感は必ず出てきます。
ボーカルがしっかりと歌えれば良いのに… と思う人もいるかもしれませんが、バンドにおいて最も顔になるのはボーカルです。
ボーカルが歌いやすくなれば、その曲が与える影響は大きく変わります。
また演奏側もキーを変える事で、知識やスキル、アレンジ力が身につきます。
大変だと思いますが、ボーカルが歌いづらそうな時は、キー変更…検討してみましょう。
コメント