メンボというのは、説明するまでもなくバンドメンバーを探すためのマッチングツールである。
出始めの頃は、いろんな音楽雑誌のメンボページから気になるプレイヤーをピックアップして、文通や電話で連絡をとりスタジオに入るという流れだった。
これが「バンやろ」パターン。
他にも楽器店やリハーサルスタジオ内にある”メンボ“コーナーから探し出すアナログなものや、ネット掲示板で探すパターン。
今なら専用アプリでマッチングするデジタル勢が一般的だろう。
しかし、デジタルで完結する訳ではない。
きっかけがどうであれ連絡をとり始めたあとの流れはアナログもデジタルも大差がないのだ。
というわけで、これまで多くのプレイヤーとマッチングしてきた著者が、メンボの活用方法と注意点を紹介しよう。
バンドマンはとにかく出逢いたい。
私がはじめて”メンボ”を意識したのは、就職して地元を離れたときだった。
都会の楽器店には”メンボコーナー”というものが設置されていることにいちいち驚いたのを今でも覚えている。
ベースを始めて数年、地元では いわゆる”文化祭バンド”を経験した程度だったが、「もうちょっと続けてみようかな」と思ってはいた。
楽しかったからといういう理由と”遊び相手が欲しかった“ということ。
とりわけ、後者の理由の方が強かったのかもしれないということが、この記事を書いていてよくわかった。
多い日は、1日で3組のバンドと面談し、掛け持ちバンドが10組を超える記録を叩き出した瞬間もあった。
当然リハーサルとライブもバンバン入ってくるので、時間的にも金銭的にも危うい状態にはなったが、人脈やスキルアップ、スケジュール管理など様々な面でプラスになったと自負している。
ただ、10バンド加入しても継続的にまともにプレイ出来るのは2〜3組が限度である。
自然消滅もあったが、そこはメンバー達の方向性と自分の温度差を見極めて、取捨選択は意図的にやっていたのだと思う。
とりあえず音を出してみる
現在でもそうだとは思うが、なにはともあれメンボというのはドラマーが需要過多である。
そして次にベース。
私はベーシストだったので、募集に事欠かなかった。
気になる告知には片っ端からメールしていたのだが、ここで”募集する側”の記載内容に注意してほしい。
募集パート、ジャンル、年齢、プロアマ思考、好きなバンドなどなど、参考にしてほしい情報をたくさん書きたいのはわかるが、情報量が多い分、求められていることも多いと錯覚して、応募しづらくなるというジレンマがあるのだ。
例えば、好きなバンドを各メンバー分書いたとしよう、1人だいたい10バンドで合計30〜40組ほどになる。
この中で自分の好みと合わないものがあれば、応募してこないかもしれない。
言い換えれば、フィルターを増やす事によって、必要な人材も失ってしまうのだ。
極論で言えば、パートとジャンルだけの簡潔なビジネス文章のようなメンボの方が、思わぬ人材が引っかかるかもしれない。
“とりあえず音を出してみましょう”というところまでこぎ着けれなければ、メンボとは夢と希望を書いただけのただの紙切れなのである。
人脈も募集しよう
メンボから得られる”人脈“についても触れておこう。
“音出し”まではこぎ着けたものの、加入には至らなかったというパターンはよくある話。
ただ、そこで関係を終わらせてはもったいないというのが持論である。
例えば、一緒に演奏してみて、思っていたジャンルとズレていた場合でも、月日が経つと自分の音楽嗜好が変わるときがある。
その時もう一度手合わせしてもらうと、新たな発見があって面白い。
募集する側も応募する側も成長するのである。
それと、ライブのお客さんとして声をかけてみると、同じ志を持ったもの同士、応援に来てくれるかもしれない。
逆に「あのバンドどうなったかな?」という感じでアンテナを伸ばすのも有効だ。
思わぬカッコイイバンドに成長しているかもしれないので、その時は自主企画のブッキング候補に入れておこう。
あとは、破談したメンボの人からバンドを紹介される事だってあるので、あまりヘンな断り方や音信不通などといったフェードアウトはやめよう。
意外と狭い業界なので敵は作らない方が良いのだ。
おわりに
思えばメンボで出会った人たちとたくさんの時間を共有してきた。
はじめての全国ツアーで寝食を共にしたり、元メンバーの結婚式に参加したり、仕事や子育ての相談を受けたり。
一枚の紙切れから、よくもまあここまで繋がってきたなと我ながら思う。
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