ボーカルは弦楽器や打楽器と異なり、生身の身体を使って音を出します。
当然楽器以上にメンテナンスが必要です。
喉のケアはバンドが長いスパンで活動していく為に不可欠な事です。
今回は喉のケアに出来る事を考えていきましょう。
【歌唱前に出来る事】
スポーツでもそうですが、いきなり激しい運動をすると捻挫や肉離れの原因になります。
まずはストレッチ等の準備体操をしますが喉も同様です。
歌う際はいきなり大きな声を出さずに、発声練習をしましょう。
他にもストレッチが効果的です。
・喉周囲の筋のストレッチ
1.首をゆっくり回す。その後、首回りの筋を伸ばす。
2.首の筋肉を、手でほぐす。
3.あごの下の筋肉をほぐす。
・肩や腹部のストレッチ
腹式呼吸は腹部だけでなく、肩周囲の筋も使用しています。
肩周りもほぐしておくと、その分腹式呼吸もスムーズに行えます。
1.肩に手を置いて、肘で円を描くようにゆっくりと動かす。(肩甲骨を大きく動かすと、肩こりにも効果あり)
2.右手を上に上げ、左に身体を倒して、腹部の横の筋を伸ばす。その後、左手を上に上げ、右に身体を倒す。
3.手を抱え、背中を伸ばす。体を後方に反らし、腹部の筋を伸ばす。
これらのストレッチを行うと、声量も大きくなり、パフォーマンスも良くなります。
・発声練習
滑舌を良くしておく事も大事です。
これは歌う前だけでなく、ボイストレーニングとして行っても良いでしょう。
1.『まめみむめもまも』と発声する。この時に速度ではなく、口、頬、顎を使用する事を意識する。表情筋も鍛える事が出来ます。
2.つぎに『らりるれれろらろ』を発声する。口、頬、顎を使用するのは変わりありません。先ほどと異なるのは、ラ行は舌を使う事ですね。ラ行をうまく言える事で、舌の根元『舌根』を柔らかくし、滑かで聞き取りやすい発声に繋がります。
【歌唱後に出来る事】
・アイシング
長時間のスタジオやレコーディングでは例え腹式呼吸を心がけていても、喉に負担がかかってしまいます。
喉を触った時に熱くなっている事はありませんか?
基本的に喉は温めた方が良いのですが、熱くなっている場合は逆に冷やした方が良いのです。
方法
①水に濡らしたタオルを絞り、熱を持った部分に当てるだけです。
この時に氷等の過度に冷たいものを使用すると、喉の筋肉が硬くなってしまい、逆効果です。
また喉を触り、他の部分と体温に変化がない程度で留めておきましょう。
・マッサージ・ストレッチ
歌唱前にストレッチ等をした方が良いと記載しましたが、当然歌唱後も行った方が良いですね。
マラソンで言うクールダウンに該当します。
【普段から心がける事】
①健康に気を付ける
歌えば歌う程、喉へのダメージは蓄積していきます。
歌った日は十分な睡眠をとりましょう。
また歌った後はなるべく大きな声は出さないようにしましょう。
無理に声を出し続けると、声帯結節やポリープ等のリスクも高まります。
健康とは異なりますが、スタジオやライブを連日行うのではなく、1日は空けるようにすると喉も回復しています。
ツアーバンドで何か所も回る場合や、土日に連続で予定がある時は難しいですが。
②喉の乾燥に気を付ける
喉が乾燥していると良いパフォーマンスを発揮できません。
うがいを習慣化しましょう。
外でついた雑菌を除去すると共に、喉の乾燥を防ぎます。
風邪予防にもなりますね。
お勧めはイソジン等でしょうか。
他にも食塩水でうがいするもの効果的と言われています。
部屋の湿度を適度に保つように心掛けましょう。
特に秋~冬の乾燥しやすい時期は注意です。
自室に加湿器を用意するのがお勧めですね。
③鼻呼吸を意識する
ボーカリストが特に気を付けて欲しいのが、鼻呼吸です。
口から息を吸うと冷たい空気や、細菌が喉に入ってきます。
普段は鼻呼吸を意識出来ても、夜間は口を開けている場合も多いです。
朝起きて、痰が絡んだり、喉が痛いという人は恐らく口呼吸になっています。
夜間にマスクを着用する、口呼吸防止用のテープを利用する等の方法が効果的です。
マスクはサイズにも気をつけましょう。
サイズの合わないマスクを使用しても、隙間から乾燥した空気が入ってくるからです。
④首回りを温める
夏場はあまり関係ありませんが、秋~冬になると身体が冷えますね。
そんな時はレッグウォーマーやマフラー等で首そのものを温めるのも良いです。
首回りの筋がほぐれると共に、全身の血流も良くなるので、腹式呼吸や身体の動かしやすさにも影響を与えます。
⑤飲み物をしっかりと摂る。
夏場はつい冷たい飲み物を選んでしまいますが、極端なものはお勧めできません。
常温のものを摂取しましょう。
詳しくは次回の記事で記載していきます。
おわりに
いかかだったでしょうか。
喉のケアは歌う前後だけでなく、普段の生活でも必要な事です。
自分の喉を労わって、良い歌声を維持出来るように頑張って下さいね。
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