バンドマンにとって地味に財布に痛い出費のスタジオ代。
自身が所属しているバンド全体で年間総額いくら支払っているか把握している人は意外と少ないと思います。
1部屋1時間2000円として、1回2時間、週に2回入ったとして、年間(52週間)の試算をしてみましょう。
2000 × 2 × 2 × 52 = 416000
なんと40万円以上も支払っているわけですね・・・・。
これに機材費、ライブ代等、バンドマンは出費が多いのがよく分かります。
今回は、スタジオ代の出費をおさえつつ、通常のスタジオよりも多機能なサイレントスタジオ構築について記事を書いていきます。
1.サイレントスタジオって何?
この記事のタイトルと目次で「サイレントスタジオ」を連発していますが、筆者が10年前くらいに「スタジオ行くのめんどくさい、自分は家から出ずにみんなで練習したい」というワガママな発想で構築し、勝手にそう呼んでいたものです。
サイレントスタジオを簡単に説明すると、電子ドラムを持っているドラマーが増えた今、ミキサーを買ってきて、ギター・ベース・電子ドラムをミキサーに繋いで皆がヘッドホンで聴きながら「自宅で」「静かに」演奏するという形態です。
さらに、ボーカルが声を出してもある程度大丈夫な部屋に住んでいるなら、マイクも挿せば自室が完璧な練習スタジオになっちゃうわけです。
スタジオ代はいらないし、時間制限もないので焦ることもないし、飲み食いしながらでも演奏できるし、大満足な発明でした。
しかし、この記事を書くにあたって、Google検索してみると「サイレント・スタジオ」との商品名で似たようなシステムが発売されてました・・・・・びっくり。
ヘッドホン出力端子が5~6個ついた高性能ミキサーと電子ドラムと各種ケーブルがセットになった商品のようです。
ちなみに私が考案したのはこの商品よりもっと「安く」「プラスアルファ機能付き」で構築するものです。
商品化されているような高性能・高価格帯のミキサーでなくとも、ヘッドホン出力端子は100均で売られている分岐端子でいくらでも増設可能ですし、きちんとした音作りとバランスをとれば自分のパートだけ大きく出力する個別音量調整についても経験上ほぼ必要ないため、数千円クラスのミキサーで十分です。
「プラスアルファ機能」として、ミキサーの出力をMTRやパソコンに接続するとそのまま高音質レコーディングが出来ちゃいます。
この構成で録った音源は、スタジオにて数万円するコンデンサマイクを適当に複数本立てて録音したものより音質が良い場合が多いです。
では、次章で必要なものをピックアップしていきます。
2.サイレントスタジオ構築に必要なもの
まず、ドラマーが電子ドラムを持っていることが前提ですが、今や電子ドラムはスネアやペダル一個買う値段と同じくらいの価格帯の商品もあり、意外と敷居は低いのではないでしょうか。
筆者の経験上、YAMAHAかRolandのものが耐久性が良いようです。
次にミキサー。これは数千円~1万円クラスのもので良いです。ボーカル・ギター・ベース・ドラムのオーソドックスな4人編成だと、執筆時に1万円を切っているべリンガー社のXENYX 1202で充分事足ります。
あとはヘッドホンを挿すために、フォン-標準ミニジャック変換ピンのASN221M(CLASSIC PRO)を1個と、メンバーが4人の場合は分岐ケーブルYMS212(CLASIC PRO)を3個買えばOKです。
変換ピンと分岐ケーブルは100均にも売っているのでそちらから調達してもOKです。
最後に各自がヘッドホン、もしくはイヤホンを持って来れば完了です。
なお、ヘッドホンやイヤホンの線が短い場合は延長ケーブルを用意しましょう。これも100均で売られています。
まとめると、電子ドラムさえあれば、ミキサー、変換ピン×1、分岐ケーブル×3、および必要に応じて延長ケーブル。これだけでOKです。
3.サイレントスタジオのメリット・デメリット
サイレントスタジオの最も大きなメリットは、当記事の冒頭部で記載した通り、スタジオ代が無料になるということですね。
何時間練習しようとも無料です。長時間練習できるため、レンタルスタジオ代に換算するとバンド全体で年間50万円以上浮くことも可能な場合もあります・・・・。
このお金を音楽活動の他の方面につぎこめるのは魅力的ですよね。
他のメリットとしては、時間を気にしなくてもよいということです。
「あともう少し詰めておきたい!」ときにタイムアウトになる無念から解放されます。
さらに、ミキサーの出力をMTRやパソコンにつなぐと毎回録音できる上、全員のパートが聞こえるようにバランスをとっているために、細部のミスやアレンジの粗が見えやすく、曲の練りこみのクオリティが劇的に上がります。
逆にデメリットですが、くつろぎ空間での練習になってしまうということです。
かつて、ギターがアレンジを考えている時に「うーん」と言いながら横になって熟考しているうちに爆睡してしまうことがありました(笑)
ある程度は緊張感をもって練習できるように工夫する必要があるかと思います。
また、サイレント「スタジオ」と言っても、実際にアンプを触ったり、生音でのチェックは必要なので、レンタルスタジオが完全に不必要になるわけではありません。
曲が仕上がった後のチェックや微調整は、必ずレンタルスタジオで行いましょう。
4.おわりに
スポーツ選手が練習環境やメニューを工夫しているように、ミュージシャンも演奏環境などについての工夫をしていくことで、より高みに近づけると思います。
今回紹介したサイレントシステムも、携帯などからオケをミキサーに突っ込んで「弾いてみた」「叩いてみた」「歌ってみた」の音源作成(映像は後で合成できます)として使用したりなど、応用方法は沢山あります。
ミキサーでバランスをとるうちに、ライブ時の音響さんへのオーダーの仕方が上手くなったり、レコーディングの時に役立ったりすることもあります。
今、当たり前にある環境を工夫することに焦点を当ててみることも成長のきっかけになり得ますので、ぜひ挑戦してみてください。
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