腹式呼吸や滑舌を良くする等、ボーカルには基礎的な練習が必要になりますが、それとは別に感情や表現力等も求められます。
ボーカルとして巧いとしても、聴き手に感情が伝わらないと、その曲の良さも伝わりません。
今回はボーカルの表現力を高める方法について記載していきます。
【要所要所の感情を考える】
ボーカルはただ歌うのではなく要所要所の感情も緻密に考える必要があります。
アニメやナレーションを聞いた時、声だけで感情の表現を感じる事は出来ますか?
ボーカルも同じ事が言えますね。
楽曲の歌詞を読み解いて、その曲に乗せる感情を考えていきましょう。
失恋の曲なら悲しいという事は当然分かると思いますが、それだけだとざっくりとしています。
例えば、、、
Aメロ…出会った頃の思い出を歌詞にしている。
Bメロ…別れた時の場面を歌詞にしている。
サビ…あの頃に戻りたい事を歌詞にしている。
だとします。
歌詞カードに場面ごとの「好き」「嫌い」「嬉しい」などの「感情」を書き込んでいきましょう。
そしてその場面に合わせたニュアンスを練習していきます。
【歌と感情表現の練習を分けて行う】
歌自体は音程やトーン、腹式呼吸等、歌声そのものの練習が必要です。
感情表現と同時に練習を行うと、最初は中途半端になりがちです。
具体的に言うと、いきなり歌う練習はせずに、まずは歌詞に感情を込めて、声に出して「読む」練習をします。
感情を込めて読む事が出来ると、ここではこう歌えば良いという事が頭にインプットされます。
楽曲ごとにその練習をしていくと、徐々に慣れてきて、読み上げる時間は少なくなります。
【抑揚をつける】
同じ声量で歌うのではなく、サビやAメロ等、状況に合わせて変えてみましょう。
あまりに差がありすぎると、マイクがハウリングを起こしたり、逆に小さい箇所が聴こえなかったりするので、やりすぎは禁物です。
また特定の箇所だけ急に声量を上げると、聴き手は心の準備が出来ておらず、びっくりするだけです。
目標となる箇所に向かって、なだらかな山を描くように、少しずつ音量を上げ、少しずつ下げる等の工夫があると良いですね。
またどの箇所で声量を上げる(強調する)か悩むかもしれません。
そこは各バンドで相談してもらえれば良いですが、明確に協調した方が良い箇所があります。
それは 「一番高いキーが使われている箇所」です。
高い音程は、聴き手に明るい印象を与えます。
さらに音量が増すことで、その部分の言葉はより強い印象を与えられます。
試しにカラオケの採点等で音程が最も高い箇所を歌ってみると分かりやすいかもしれません。
大抵はサビに高い音程は多いので、自ずとサビは抑揚をつける際には、解放しやすい部分だと思います。
オリジナル曲の場合、どの部分が最も音程が高いかを確認してみましょう。
また抑揚を解放する箇所にくる直前も常に大きい声で歌っていると、聴き手としては単一に聴こえる場合があります。
ポイントとなる歌詞を歌うその前に、音量を一旦下げてみるとメリハリがつきます。
これらの抑揚のつけかたは実際に自身の歌声を聴いてみないと分かりにくい事も多いです。
録音等を行い、抑揚がついているかを自分で評価してみましょう。
【歌声だけでなく、視覚も大事】
レコーディング等、音源を作成する時は関係ないかもしれません。
しかしライブではボーカルの動きが聴き手に与える影響はとても大きいです。
悲しい歌詞を歌うときは本当に泣き出しそうな顔をし、前向きな曲では笑顔を見せる等、その曲に合わせた表情を意識してみましょう。
表情が感情に与える影響は大きく、悲しい表情で歌うと、実際に悲しい気持ちになります。
逆に笑顔で歌うと、気分も高揚します。
楽曲に入り込むと、感情を歌に込める事が出来ますよ。
演奏で精一杯身体を動かしても、映像で振り返ると案外パフォーマンスとしての動きは少ない事が多いですよね。
それと同様にステージ上での表情も、実際のライブでは観客には伝わっていない事も多いです。
これはステージが暗い事や、観客との距離が遠い事もありますが、練習以上の事は本番では出せない事が挙げられます。
声量とは異なり、表情や感情についてはオーバーな位でも良いと思います。
動画等を録り、あまりにナルシストに見えれば修正の必要はあるかもしれませんが…。
オリジナル曲を作成し、ボーカルと作詞者が同じなら、感情表現も行いやすいかもしれません。
もしコピー曲や、作詞者とボーカルが異なる場合は、ボーカルがうまく感情を込められないかもしれません。
コピー曲の場合は、雑誌やメディア、バンドスコア等で「曲に込めたメッセージ」や「歌詞の意味」等が載っているかもしれません。
勿論自分で歌詞を考察、解釈するのも問題ありません。
楽曲に対して向き合う姿勢が大事ですね。
おわりに
いかがだったでしょうか。
ボーカルは感情を込めると一言で言っても、様々なアプローチがあります。
それらを習得出来ると、聴き手への印象は大きく変わります。
大変だとは思いますが、頑張ってみましょう。
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