こんにちは。
今回で2回目のコラムとなりました。
前回の記事は既にご覧になりましたでしょうか。
前回は、簡単をテーマにウォーキングベースのライン構成を考える回となりましたが、今回は上モノやバンド構成からラインを考えていく回です。
コード(和音)を刻むのはどの楽器なのか。
主旋律は何が奏でるのか。
それぞれの構成でベースの立ち位置や音使いを変えなければなりません。
ジャズやフュージョンといったジャンルでは、リズム隊は支えるだけではなく前へ引っ張っていく役割や、ソロ等、前面に出ることもしばしば存在します。
ですから、今回のコラムでは上モノの違いでどういったアプローチをとればいいか学んでいきましょう。
前回よりも濃い内容となっておりますので実践やジャムセッションできっと役にたつはずです。
1 和音の知識と効果
前回は度数と3和音について簡単にお話しました。
今回は基礎となる3和音の構成を深く掘り下げていきましょう。
CメジャースケールからCのコードを作る場合の度数は、ドはルート音(1度)、ミは長3度、ソはルートからみて完全5度となります。
これがCマイナースケールになると、ドは変わらずルート音(1度)、ミ♭は短3度、ソは同じく完全5度となります。
これら3和音のことを「トライアド」といいます。
ルート音から音階を数えることは前回お話済みですね。
では4和音はどうでしょうか。
皆さんが良く聞く7th、maj7コードは、基礎となるトライアドに短7度、もしくは長7度の音を足したものになります。
7thにはコード進行にもよりますが、緊張感や盛り上がりを助長する効果があります。
逆にmaj7には優しく、お洒落な響きになり曲全体のモチーフとして使用されることもあります。
次に紹介するのはディミニッシュコードです。
(以下dim)dimは半音も含めた12個のオクターブを、4つ、3つの音に均等に区切ったもので、各音の間隔が短3度になります。
Cdim7はルートがド、次はミ♭、そして次はファ#、最後にラとなります。
完全音程があった先程紹介してきたコードと違い、非常に不安定な響きになりますが、次小節がトライアドやその類のコードになると音は落ち着き解決されます。
他にも、オーギュメントやsus4、6thコード等、様々なコードがあります。
ベーシストとしてそれらを使用することはありませんが、和音の構成や特徴をしっかりと把握することで、ライン構成や音選びに大きな差が生まれますから必ず和音の勉強を継続しましょう。
2 クローズドヴォイシングとオープンヴォイシング
コードの構成音を広い音域の中で取ることをオープンヴォイシングといいます。
ギター等が得意とするヴォイシングです。
しかしながら、得意というわけではなくギターの構造上クローズドヴォイシングが苦手な楽器なのです。
仮にギターで1オクターブ内を用いてコードを弾こうとすると、過度なストレッチになり指が届かないということもありえます。
ですから、ギターでは自然とオクターブを意図的に下げた配置でコードを弾くことがよく用いられます。
こうすることで指の配置を楽にすることができ、7th等に向いたサウンドを得ることができます。
こういった手法をドロップといいます。
では、ピアノはどうでしょうか。
実はピアノはクローズ、オープンとも得意な楽器であり様々な奏法を用いることができます。
しかしながら、様々な音域をカバー出来てしまう故にベースとの絡みが非常に難しくピアノの伴奏者とは話合いが必要でしょう。
ベースの音域も出せるわけですから、コードとベースどちらも伴奏させられたらベースのラインが埋もれてしまいます。
こういった場合には、ピアノの伴奏者にベース抜きのフレーズや、ブロック奏法等を用いて貰うと良いでしょう。
ブロック奏法とは、メロディをトップノートに置く伴奏の一種です。
ホーンセクションは、様々な管楽器がトライアドに合わせて和音を構成するので、何処のオクターブまで使用する構成なのか知っておくといいでしょう。
主旋律にのるような伴奏型なのか、または別の手法なのか知っておく必要性があります。
各々の楽器の個性と良さを引き出して上げるのもベーシストの務めです。
しっかりとした知識の下地があれば楽曲をより引き締めることができるでしょう。
ベースが良いバンドは売れるというのはあながち嘘ではないのです。
3 上モノから考える音選び
では、本題にはいりましょう。
まずギターが上モノとしましょう。
ギターは先にも話した通りクローズドヴォイシングが苦手なのでオープンヴォイシングが基本形となります。
音域が広いため、ベースとしてはあまり同じ音域内に入らず、且つテンションに傾くようなライン構成は控えめの方がいいでしょう。
同じ音域内のハイフレットでの高音や、コードのテンションは多用せず、トライアド内でライン構成したほうが安定するでしょう。
もし、ハイフレットを使うのであればギターの音域が狭くなるドロップしたコードを利用している時が望ましいです。
ベースの存在感が増してくると思います。
次にピアノです。
こちらはどちらのヴォイシングも得意な楽器ですから伴奏者との相談が必要です。
ピアノがブロック奏法やドロップを用いるなら、トライアドを意識しつつ、狭い音域内から出るベースラインがあるとスパイスとして機能するでしょう。
展開型、オープンヴォイシングに傾くような伴奏であれば、トライアドを意識したベースラインが望ましいと思います。
しかしながら、ウォーキングベースで重要なのは楽曲を前へ引っ張っていくことです。
トライアドを意識しつつ、経過音を取り入れるのは全て前提としてお話しています。
どの楽器にも音域に違いがあり、それが個性となっています。
その間を縫うような役割がベースラインだと考えています。
さらに、上モノの知識が無ければ良いラインは組立てられないということです。
ベースについて物凄く知識があっても、ジャンルや奏法、和音、判例的なライン等が直ぐに出てこなければ弾くことは出来ません。
リズム隊全般に言えることですが、これらはベース単品で考えるものではありません。
しっかりと上モノの知識と、全体のサウンドを意識しましょう。
終わりに
上モノが違うだけで考えることは多々あります。
知識も必然的に必要となりますから、演奏技術だけではなく、どうしたらいいラインになるのかという考える時間を持ちましょう。
どんな状況であっても知識があれば大抵の現場はこなせます。
ベースはどんなジャンルにも存在しますし無くなることはありません。
ですから、今回のコラムで学んだことを是非活かしていきましょう。
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