自分が鳴らしている音に対して、異なる度数の音を加えて鳴らすエフェクターをピッチ系エフェクターと呼びます。
大きく分けてオクターバーとピッチシフターがありますが、両者の違いは何でしょうか?
今回はそれぞれのエフェクターについて掘り下げていきますね。
【オクターバーとは】
原音に対して1つもしくは2つ下のオクターブ音を加えて鳴らすエフェクターです。
近年ではオクターブ上の音を鳴らせるものもあります。
生産当初は単音しかオクターブをかけられませんでしたが、近年では和音(コード弾き)にも対応するものも増えていますね。
オクターバーの構造もいくつかありますが、音の波形を短形波というものに変換させるタイプが多いです。
波形の立ち上がり(フリップフロップ)で+と−を反転させる回路に通す事で短形波のサイズが倍になります。
この構造により、原音にオクターブ上の音を加えます。
この構造はファズと似ており、回路の構造上ある程度の歪みが発生します。
ファズにオクターブの機能がついているものもあるのはこの為です。
オクターバーは音を加えるだけのエフェクターと考えるなら種類も少ないはずです。
実際には各メーカーから様々なオクターバーが販売されています。
それはこの歪みや音の厚みによる個性とも言えます。
・オクターバーの使い方
使い方はたくさんありますが
・音を加えて厚みを持たせる
・ギターとベースでユニゾンする際に使用して、3つの楽器で鳴らしているような音作り
・コードで鳴らして12弦ギターのような音を出す
・ベースでシンセベースのような音を出す
等でしょうか。
【ピッチシフターとは】
ピッチシフターは鳴らした音の音程を変化させたり、度数の異なる音を加えます。
狭義でピッチシフターと言えば原音に対して+1度、−1度と度数を設定すると、鳴らした音に対して機械的に音を追加するものを指します。
細かく言えば
・ハーモナイザー
曲のキーに合わせてシフトさせる間隔を調整させるもの。
通常のピッチシフターは機械的に音を追加するので、音がスケールから離れる等して違和感が出る場合がありますが、ハーモナイザーはその心配はありません。
しかしキーの知識が求められる為、上級者向けですね。
・ワーミーペダル
ペダルの踏み込みに比例して音程を変えたり、音を追加するエフェクターです。
こちら飛び道具として使われますが、ペダルを固定して通常のピッチシフターとして使用可能。
と区分けされます。
ピッチシフターはオクターバーより構造が複雑です。
音を早送りにすると音が高くなり、その分音の長さが通常の半分になります。
ぶつ切りに聴こえないよう、音と音の隙間をディレイで埋めるという原理ですが、アナログで再現するのは難しい為、ピッチシフターの多くがデジタル回路を使用しています。
・ピッチシフターの使い方
オクターバーのように音を加える事が出来ますが、用途は更に広がります。
・単音弾きに5度の音を追加してパワーコードでひく
・リードギターに3度の音を追加してツインリードのようなハモリを出す
・−1度に設定して半音下げチューニングで演奏する。逆にカポを使わずキーを上げる
等々 ピッチシフターはギタリストベーシストの数だけ使い方があります。
【オクターバーよりピッチシフターの方が良いの?】
・機能面
機能面では圧倒的にピッチシフターが優れています。
機能的にはピッチシフターでオクターバーと同じ事が出来ます。
その分ツマミや音作りはピッチシフターの方が難しく、上級者向けになりますね。
ピッチシフターはハーモナイザーやワーミーペダルと種類も多いので、何をしたいのかを見極めて購入する必要があります。
・音質の違い
一番の違いは音痩せです。
ピッチシフターは音を細切れにして隙間にディレイで音を埋めるという構造上、音痩せは否めません。
オクターバーは回路的には原音に音を加える為、通すだけで音の厚みが生まれます。
BOSS OC-2 Octaveは生産中止にもかかわらず、独特な音の太さが持ち味で未だに根強い人気を誇ります。
ピッチシフターが発売されてもオクターバーが根強い人気を誇るのは、音質的にピッチシフターが出せない音があるからなのです。
・値段の違い
オクターバーの基本原理がシンプルな為、ピッチシフターよりも値段が安いものが多いです。
単純に原音より下の音を加える事を目的にするならオクターバーの方が良いでしょう。
・他のエフェクターとの兼ね合い
ベースシンセのような音を出す際は、音の厚みも同時に必要です。
その場合はオクターバー+ファズとピッチシフター+ファズでは音の重厚感ではオクターバーに軍配が上がります。
【まとめ】
今回はオクターバーとピッチシフターの構造や使い方、選び方について紹介しました。
似ているようで構造は大きく異なるエフェクターです。
結論としては音質を求めるならオクターバー、機能面を求めるならピッチシフターとなりますね。
出来る事は圧倒的にピッチシフターが多いものの、音圧を増やす等オクターバーにしか出来ない事もあるのです。
今回の記事がエフェクター選びの参考になれば幸いです。
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