●はじめに
今現在、ドラムセットはいろいろな進化を遂げ、色んな太鼓やシンバルを追加して、ロック・ジャズが出始めた頃よりかは、色んな音楽をやるようになりました。
ドラムセットはここ100年くらいの新しい楽器です。
その歴史の中で、一番の発明が「ハイハット」であると言えます。
今回は「ハイハット」について、色んなジャンルから見て掘り下げて話していきます。
●ハイハットの歴史
もともとドラムセットはアメリカの鼓笛隊でバスドラムとスネアだけの簡単なセットから生まれました。
ある時、奏者が左足を一定に踏んでビートをとっているのを見て、それを演奏に取り入れるためにハイハットが開発されました。
最初はスティックで叩く前提は無く、足元にちょこんと、シンバル二枚にペダルがついてる、と言ったようなものでした。
その後、スティックで叩ける位置まで、スタンドが伸び、今のような形になります。
●ロックのハイハット
まず、わかりやすくロックのお話です。
ロックではスティックを使い、曲の盛り上がりなどを演出するのにハイハットは大いに活躍します。
Aメロはハイハットを閉めてタイトに演奏し、サビになるとハイハットを開けて大きく盛り上げるというと、分かりやすいのではないでしょうか。
今一つ盛り上がりに欠けるなぁと、悩んでいる人はBメロが重要です。
Bメロの終わり向かってだんだんと、ハイハットを開けましょう。
段々盛り上がる演出が出来て、サビに入った時に爆発します。
ハーフオープンの音も重要です。
シャーシャーと綺麗な音が、自分の気に入った音が出るように踏む力を加減します。
入りの4つカウントは出来るだけ気持ちいい音を選びましょう。
それだけで、ライブは良くも悪くもなります。
●ジャズのハイハット
ハイハットについて、一番考えるのは、やはりジャズです。
ジャズではハイハットは、叩くよりかは、踏むものです。
叩かないことは無いですが、基本的には踏んでバックビートを出します。
ロックでいうところのスネアの役割と考えればわかりやすいです。
踏み方も考えなければ、いけません。
「ジャッ」と踏むではなく「チッ」と音が出るように、しっかりタイトに。
自分もどちらかと言うとロックから入った人間なので、最初は苦労しましたが、人にアドバイスを受けて出来るようになったら、世界が変わりました。
ジャズセッションなどでやれるようになると、曲がしっかり前に進むが感覚がして、流れるようになります。(レガート)
そうすると他のメンバーもそれに呼応して、プレイが盛り上がっていきます。
あと、バックビートだけではありません。
ゴーストを入れるときもあれば、アクセントを入れることもします。
ジャズをプレイするときの左足はとても忙しいです。
ジャズを始めようと思う人は、まずハイハットを考えてみましょう。
●ポップスのハイハット
ポップスでは、バンドの演奏が主ではありません。
下手をするとただの8ビートでも、ハイハットの音が煩わしくなる場合もあります。
なので、いっそのこと叩かない、と言うのもドラマーの腕の一つです。
しかし、無くせばいい、という訳でもないのがポップスの難しいところ。
煩わしくならないように、それでいて、一辺倒にならないように。
ある意味、一番ハイハットの音色について考えるジャンルでは無いでしょうか。
あと何よりポップスでハイハットが美味しいのは、隙間のハイハットオープンです。
ポップスをプレイするときは、ボーカルのメロディーをよく聞きましょう。
メロディーやリズムの合間を縫って、気持ちいいところにここぞと開ける、するとボーカルがニヤッとしながらこっちをちらっと見ます。
ポップスは何より、定義があいまいなので、その時その時で色んなことを考えます。
●ハイハット色々
最近では色んなジャンルが出てきて、ハイハットもいろいろな使われ方がします。
多分大体の人が、曲の最中、一番叩く個所はハイハットだと思いますが、そうでも無いジャンルと言うのがたくさんあります。
最近はやりのゴスペルチョップなどではハイハットがフィルの中に組み込まれていたり、ジャズのドラムソロをハイハットだけでやってしまうなんてドラマーもいます。
ハイハットの使い方で、ジャンルも大きく変わることもある、ハイハットはそれだけ、ドラムセットの中では重要です。
●ハイハットが無い場合
ほとんどないとは思いますが、筆者は一度、そのような場面に遭遇したことがあります。
その時はあるシンバル二枚を普通に重ね合わせてセッティングして、クローズハイハットの音だけは確保しました。
ちょうど同口径のスプラッシュがあったのでそれを使いました。
それ以外のシンバルはありませんでした(笑)
ちょうど気持ち、カクテルドラムのような状態です。
ただ、その時の演奏は色々と工夫して、いつもより集中して、逆にいつもよりいい演奏ができたんでは無いかと、今は思います。
そういう意味でも「ハイハットを考える」と言うのはドラムにおいて重要なことだと思います。
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