バンドの音作りにとってベースの音域の調整は重要な要素です。
そんな時に頼りになるのがイコライザーですが、種類が豊富な為何を選ぶか迷ってしまいます。
今回はベーシストにおススメのグラフィックイコライザーであるBoss/ GEB-7 Equalizerについて紹介します。
イコライザーについては
グラフィックイコライザー(グライコ)とパラメトリックイコライザー(パライコ)の違いについて
の記事を参考にして下さい。
【GEB-7 とGE-7の違い】
BOSSは日本の老舗のエフェクターメーカーです。
元々はGE-7 Equalizerが1981年に発売されました。
その中でよりベースに特化したものとして、GEB-7 Equalizerが1995年に発売。
その後も根強い人気を誇り、今に至ります。
GE-7 Equalizerの周波数は
100Hz
200Hz
400Hz
800Hz
1.6kHz
3.2kHz
6.4kHz
となっており、調整幅は±15dBです。
GE-7は低音から高音まで幅広くカバーしている印象です。
それに対してGEB-7 Equalizerの周波数は以下の7つ
50Hz
120Hz
400Hz
500Hz
800Hz
4.5kHz
10kHz
調整幅は±15dBと変わりません。
グライコで調整出来る周波数は100Hz→200Hz→400Hz→800Hz等、均等な事が多いのですが、GEB-7はベースの音作りに重要な低音域に占める割合が多いのが特徴です。
その周波数は美味しいポイントをよく押さえています。
ギターでも半音下げチューニングや、7弦等の鳴らす場合はこちらをオススメします。
【GEB-7の使い方】
GEB-7の使い方はとてもシンプルです。
ちなみにGE-7とは周波数が違うだけで使い方は同じです。
①最初は全てのツマミを±0dBに
②エフェクターを踏むとインジケーターが点灯し、ONになる
③それぞれの周波数のツマミ好きな位置に調整する
④右のLEVELのツマミを調整し、ON/OFFの時に音量が大きく変わらないようにする
となります。
【GEB-7の音作り】
アンプの各種音域はメーカーにより異なりますが、大体以下の通りです。
BASS/LOW(約20Hz~400Hz)
MIDDLE(約400 Hz~1.6kHz)
TREBLE(約3kHz~6.3kHz)
PRESENCE(約6.3kHz~20kHz) ※ないものもある
グライコはこれらをより細かく視覚化したものであり、各周波数をブースト・カットする事で音に様々な効果が生まれます。
GEB-7 の各種ツマミによる影響を紹介しましょう。
・50Hz
最低音の周波数です。ブーストすると分厚く太い音、カットすると音圧はスッキリした音になります。
・120Hz
最低音の少し上の周波数です。音色の温かみに影響します。ブーストすると量感があるものの輪郭が分かりにくくなり、反対にカットすると輪郭がはっきりします。
上記の2つのツマミはBASS/LOW(約20Hz~400Hz)に該当しますね。
・400Hz
・500Hz
こちら100Hzしか変わらない為、役割はほぼ同じです。音の抜けを左右するツマミであり、カットするとドンシャリサウンドが得られます。ブーストすると音量感が増します。
・800Hz
こちらはアタック音が始まる音域です。ブーストすると締まった感じ、カットするとジャズに向いた柔らかな音になります。
以上の3つのツマミはMIDDLE(約400Hz~1.6kHz)に該当しますね。この部分はギターの音域に被りやすい部分です。音が埋もれて聴こえにくい場合、この中の3つをいじると音が抜けるポイントが見つかります。
・4.5kHz
ギターの高音域や、ボーカルの音域に被ります。ブーストするとベースの輪郭ははっきりしますが、少し耳障りな音になりやすいです。
TREBLE(約3kHz~6.3kHz)に該当しますね。
・10kHz
かなりの高音域であり、ベースではフィンガーノイズ等に関わる周波数です。
PRESENCE(約6.3kHz~20kHz)に該当する部分です。
この10kHzだけはシェルビングEQとなっています。
他のツマミは500Hzのツマミをブーストすると、500Hzを中心に周辺の周波数もなだらかにブーストされます。
しかし10kHzはブーストすると、10kHz以上の音もなだからではなく、均一にブーストされるのです。
【サンプル・セッティング】
GEB-7にはいくつかサンプルがあります。
・スタンダード・ロック
音の輪郭をはっきりさせたい場合に
50Hz −5dB
120Hz 0
400Hz +5dB
500Hz +10dB
800Hz +5dB
4.5kHz −5dB
10kHz 0
・ヘビー・メタル
低音重視のいわゆるドンシャリサウンドですね。
50Hz +15dB
120Hz +10dB
400Hz −5dB
500Hz −10dB
800Hz −5dB
4.5kHz +10dB
10kHz +10dB
・スラップ・プレイ
GEB-7はスラップと相性が良いとされます。
肝は400Hzをカットしている部分でしょうか。
400Hzと500Hzで大幅に調整が出来るのはGEB-7の利点ですね。
50Hz +5dB
120Hz 0
400Hz −10dB
500Hz 0
800Hz 0
4.5kHz +10dB
10kHz +10dB
これらの設定はあくまでもサンプルなので、実際にこの設定でも音が埋もれたり、イメージと違う事もあるでしょう。そこはメンバード相談です。
【GEB-7 の愛用者】
名機と言われるGEB-7 なので、プロのベーシストでも愛用者は多いです。
現在、そして以前使用していた事が確認出来るベーシストとしては
Fear, and Loathing in Las VegasのTetsuya
ナイトメアのNi~ya
パスピエの露崎義邦
等がいます。
【イコライザーを使う上で注意する事】
また音作りは足し算ではなく引き算です。
必要だからと言って色々とブーストすると、どの音域をはっきりさせたいのか分からなくなります。
ベースがうるさい
↓
ギターの音量や音域にブーストする
↓
ベースが聴こえず、更にブースト
↓
音の洪水となり、ボーカルが聴こえない
等の悪循環を引き起こしかねません。
必要な部分をブーストしなくても、不必要な部分をカットする事で、相対的に必要な部分をブーストする事になります。
【まとめ】
今回はベース用イコライザーであるGEB-7の紹介をしました。
ツマミは7つと決して多くはないものの、低音から中音域にかけて柔軟に調整が出来る為、ベーシスト(特にスラップをするベーシスト)にオススメです。
今回の記事がイコライザー選びの参考になれば幸いです。
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