こんにちは。
ローディーという仕事をしている谷と申します。
前回はローディーがプロ現場で実際に使ってる工具をご紹介しました。
今回は少しマニアックなモノを番外編として「ミュージシャンも持っていたら意外と便利」という工具ではなく、道具をいくつかご紹介したいと思います。
ぜひ最後まで読んでみてください!
1.テスター
ミュージシャンの方でもテスターを知ってる方は多いと思いますが、実際に持ってる人は少ないんじゃないでしょうか。
我々ローディーは必ず持っています。
用途としては
・電圧を測る
・電位差を測る
・機材の導通を確認
として使うことが現場は多いです。
※クラフトの方やAMP、エフェクターを作る人は他の機能も沢山使います。
サイズも値段も種類も沢山ありますが、
こちらのテスターは現場的にサイズも値段もちょうどいいので使ってる人が多いです。
テスターを持っていれば出来ること
①ギターを持ってマイクで歌おうとしたときに「ビリッ」とくる電気が確認できる
②9V電池の残量を確認できる
③シールドが断線してるか確認ができる
これらを確認するのって地味に面倒だったりすので感覚的に「大丈夫か」と思ってしまいがちですが、テスターされ持っていればすぐに確認ができます。
①はリハーサルスタジオやライブハウスのリハのときにギターの方が歌おうとしたら「痛い!」と言ってるのを見かけます。
このギターを持ってるときに電気が口にピリッとくる原因は「電位差」です。
※静電気のときもありますがギターを持っているときであれば電位差が原因であることが多いです。
電位差を簡単に説明すると、
PA機材と楽器機材、それぞれの機材のグランドに「差」が発生し、その差が電位差です。
その差が大きければ大きいほどビリッとくるのが大きいです。
例えばPA機材のグランドが20V、楽器機材のグランドが0Vだったとします。
そうすると20Vの電位差が発生します。
ギター(楽器)を触りながらマイク(PA)に振れるとその20Vが流れてビリッとするわけです。
よく見る改善策はPAと楽器のグランドをワニ口で挟んでグランドを共通にさせる方法です。
グランドを意図的に繋げてあげることで電位差はなくなりますので、ビリッとくることはありません。
※ベースやアコギなどがビリッとこないのは、D.IなどがPAと回線がつながっていて、そこでグランドが共通になり電位差が発生しません。
またギターでもワイヤレスを使用している人はケーブルが繋がっていないので電位差は発生しません。
話を戻しますとテスターがあればこの電位差を測れるのでビリッとくるのを事前に防げます。
やり方はいくつかありますが一番簡単なのは、
テスターを「交流」が計測出来るモードにして自分が持ってるギターの弦とマイクのグリル部分に当ててあげると計測できます。
敏感な人であれば1Vと表示されたらビリッと感じる人もいます。
我々ローディーは0.1V以下であればビリッとくることはないと判断することが多いです。
もし0.1V以下にならない場合はワニ口の取る場所などを変えてみてください。
②の9Vの電池の残量で「あとどれくらい使えるかな」とか「今日のライブギリギリ大丈夫かな」とか思うことがあるかもしれません。
そんなときはテスターで残量を測ればその不安要素も本番中のトラブルもなくなるのでぜひやってみてください。
やり方はテスターを「直流」モードにして電池のプラス・マイナス部分に当ててあげれば電池の残りの残量が表示されます。
測ったことがある人なら知っていると思いますが新品のアルカリ電池は9.6V前後あります。
9Vピッタリではなく9V以上あります。
これは同じメーカーであっても個体差があり9.4Vや9.5Vのときもあります。
使うものによって電池の減り方が違いますし、使うものによって何Vまで電池が使えるか変わってきます。
チューナーで使う場合は6.5Vとかまで使っていてもチューナーは反応します。
※チューナーによって差があります
歪み系エフェクターだと8V切る前に交換するようにしています。
これは音にも影響しますし、使う機材で交換のタイミングは変わりますので自分の機材で電池を使う箇所があればこれはこのくらいまで電池使えると把握できるので節約にもなるかと思います。
2.蓄光テープ
これはプロ・アマ問わず使っている人が多いかと思いますが色々な使い方が出来るのでご紹介させてもらいます。
色んなメーカーから出ていますが現場で求めているのは高輝度なものなのでこれをよく使います。
テープ幅は使う場所によって使い分けているので何種類か持っていると便利です。
蓄光テープは、
・エフェクターボード
・ギター、ベースのポジションマーク
に使用するととても便利です。
エフェクターボード内でスイッチャーを使っていたらスイッチ部もしくはその下に貼っておけばステージが暗くても踏む場所が見えるので便利です。
ギター、ベースのポジションマークのところに自分のいいサイズに切ってマークの上から貼れば暗くても演奏しやすいかと思います。
注意点としては字のとおり蓄光テープなので、光を貯めて暗くなったときに光ります。
ステージの照明で光を蓄える必要があるのでステージが明るいときには光りませんのでご注意ください。
3.SKB / キャリングケース
こちらはケースなんですが我々ローディーは工具箱というものを持って現場にいきます。
その中には先日紹介した工具だったり今回紹介したモノだったり、人それぞれ入れてるモノは違いますがそういった色んな工具をケースに入れてます。
その工具箱自体によく使われるのがSKBのキャリングケースです。
サイズは小さいのから大きいのまで沢山種類があります。
ローディーは工具箱としての用途が多いですが、ミュージシャンの方も沢山SKBのケースを使っています。
例えば
①シールド、弦、予備の小物などを入れる
②機材専用のハードケースを発注すると高いからSKBで合ったサイズを買う
など使い方は様々です。
①はメンバー全員分の予備の小物をまとめて入れたりすると便利です。
②は精密機器や楽器のケースとして使う場合は、中にウレタンが入ってるタイプのキャリングケースを買って自分の好きなようにくり抜いて使用すれば衝撃にも強くなります。
ライブハウスなどで見かけるのはホームセンターに売ってるプラケに入れて蓋が割れてたり、エフェクターボードに無理やり入れてたりします。
機材のことを考えるならば、バンドで一つにケースにまとめておけば管理も持ち運びも楽だと思います。
大きいサイズになればキャスターがついてるものもあるので転がせるので便利です。
ケース自体は安くはありませんが大事な機材を守るものなので、あまりお金かけたくないけどちゃんとしたのが欲しいという場合にSKBのキャリングケースはオススメです。
プロ現場ではSKBの他に「ペリカンケース」というものがありますが、ペリカンケースのほうがケース全体的にしっかりしていて安心感はあります。
ただしっかりしてるのでその分値段が高いです。
たまにミュージシャンの方でもペリカンケースを持っている方もいますが、ペリカンは我々裏方がよく使うイメージではあります。
モノ自体はかなりいいモノなのでもし興味ある方はペリカンケースもチェックしてみてください。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回ご紹介したものもローディーの人達やプロ現場にいけば必ずあるものです。
ライブにおいて何かをよくするというのは演奏や技術だけではありません。
「ちょっとした機材の工夫」「経験で得る知識」もとても大事な事だと思います。
工夫や知識で考え方や見方が変わることがありますので是非参考にしてみてください。
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