こんにちは!
サウンドデザイナーの太田です!
今回取り上げるのは、コンプレッサーの中では、最も有名と言っても過言ではない“1176”です。
俗に言う“76”です!
オリジナルのUrei 1176が発売されてから数十年経ちますが(現在はUniversal Audioから発売)、未だに定番として、スタジオ等に置いてありますし、プラグインも様々なメーカーがリリースしていますので、お持ちの方も多いと思います。
なぜ今回改めて取り上げるかと言うと、この“76系”は超有名なのですが、「使い方や機能には癖が強い」為、使いこなせない方も多いと感じたからです。
では、詳しく解説していきます!!
(そもそもコンプにあまり詳しくない、使い方が分からない方は、以前に「コンプとEQ」という記事を書いておりますので、そちらをご覧ください!)
・76系の特徴
音にパンチが出るので、私はスネアやタム、アコギと、アタックを出す時に使う事が多いです。
ベースにかけて、歪ませるのもよく使います!
76系ではレシオを4:1、8:1、12:1、20:1と4つのボタンを切り替える事によって決めます。
レシオをオフにして歪ませたり出来るのですが、この歪み方もなかなか良いです!
・76系の分かりにくいところ(つまみ類)
“アタックとリリースのツマミがなぜか逆(笑)”
普通のコンプでは、左いっぱいでピードが速くなり、右いっぱいで遅くなります。
しかし76系コンプは逆です!
1から7まで数字が振ってありますが、1が最も遅くて、7で最も速くなります。
誰がこの数字を振ったのか謎ですし、そもそも1とか7とかってなんだ!?って思いますが(笑)
そしてそれぞれのツマミの効き具合も、個性が満載です!
“アタックはほぼ効かない”
アタックスピードが0.5ms〜1msまでしか設定出来ないという超スピード設定!!
通常のコンプであれば0.5ms〜100msぐらいは余裕があると思うのですが、76系にそんな器用さはないです!
リスニング環境や、人にもよるのですが、切り替えてもほとんど分からない人も多いと思います(笑)
“リリースは普通だが戻りが遅い”
アタックは超スピード設定なのですが、リリースは普通に効きがいいです。
最速に設定しても、若干戻りが遅い時がありますが、問題になる事は少ないです。
・76系の分かりにくいところ(レシオとスレッショルド)
まずはレシオなんですが、特徴の項目にも書いたように、4、8、12、20の固定となっています。
全押し(後で説明します)すればレシオがいくつになるのか全く分かりません(笑)
次にスレッショルドですが、こちらは完全固定となっていて、インプットを上げる事によって、次第にコンプがかかっていきます。
しかし!!4、8、12、20の一つづつにスレッショルド値が設定されていて、4では一番深く、12では一番浅くなっています。
つまりですね、4でコンプがかかったとしても、12ではかからない事も…。
ついでにお話ししておきたい事がもう一つ。
76系のコントロールは一つ弄ったら、全て弄り直さなければならないという、なんともめんどくさい仕様です!
そうしないと、コンプが掛からなかったり、リリースタイムがズレたり、音量デカすぎたりと、問題だらけになります(笑)
・76系のレシオ全押しは謎がいっぱい!
先程から出ている全押しについて説明します。
レシオの選択ボタンはいくつか同時に使用する事が可能です。
このボタンを全て押し込むのが全押しです。
ちなみに、これをやると全く別物のコンプに変わります。
レシオとスレッショルドはもちろん、アタックやリリースタイムすら変わるという謎ぶりです。
数値はわかりませんが、聴感上では、めちゃくちゃパンチのある音になります!
そしてリリースは、通常に比べて速く戻るようになります。
そして問題はアタックなのですが、左いっぱいにすると最も速くかかる様になると言いましたが、全押し時はなぜか他の場所の方が、遅くかかるんです。
これは個体差なのか何なのか分かりませんが、何台か比べてみたいですね!
・それでも76!!
こんな感じで、なかなか扱いにくいんですが、コイツにしか出せないパンチ感や派手さがあり、非常に良く使っています。
使いこなせるようになれば、その価値がわかると言うのが76なんです!!
・76系使用時のポイントとアドバイス
アタックを強調したい時に最適!
パンチのある音になります!
歪ませる時にもとても良い!
設定する際は、まずレシオの設定は最初に決める!
その次にインプットポリューム→アウトプットポリューム→リリース→アタックの順番でつくる!
メーターはインプットレベル以外は全て正常に機能します(笑)
・最後に
こんなややこしいやつなので、私も最初は謎すぎました(笑)
今現在、使いこなせる様になったと言っていいのか分かりませんが、良く使うコンプになりました。
性能を引き出してナンボなんで、とりあえずスネア等にかけて、いじってみてください!(笑)
今回はこのへんで!
ではまた!!
“プロフィール”
太田好泰
ミュージックインストラクター、作編曲、レコーディングエンジニアから、マスタリングエンジニアまでマルチに活動。
また、電子工学の知識を生かし、エフェクター等、電子楽器の回路設計、修理も担当。
プロデューサーとしての依頼があった事をきっかけに、肩書きをサウンドデザイナーに変更。
現在、若い世代の育成を目指しながら音楽活動をしている。
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