キーボード奏者は一番最初にコードの壁に当たります。
コピーバンドでも、「市販の楽譜がない」、「編成にキーボードがない」、「曲の中で少ししか弾くところがない」場合、自分で楽譜を作るなり、弾く音を考えなければなりません。
オリジナルバンドをやる場合はなおのことコードを知らないと話になりません。
ギターやベースが五線譜を読み書きできるレアな強者でもない限り、曲中の和音構成はコードで渡されます。
コードの読み方や構成音はバンダーランド内の以下の記事に記載されていますので、読めない方、自信のない方はまずその記事を読みましょう。
また、基本さえ分かっていればコード表はググればいくらでも出てきますので、和音構成については特に問題ないかと思います。
しかし、コードが分かったと言っても、それだけでは使い物になりません。
この記事では、コードを理解できたキーボード奏者が実際に曲の中で音を入れていく時に必要になる「ボイシング」について記載していきます。
1.まずはコードに慣れよう
ボイシングの内容に入っていく前に、まずはコードを言われたらさっと構成音が弾けるようになっておきましょう。
そう言われると、「どうやったらコードを見てパッと弾けるようになるの?」と思う方が大半だと思いますが、ギターと同じです。
ギターは、好きな曲をコードを見ながら弾き語りをすることによってコードを見てササッと弾けるようになっていきます。
キーボードも同じです。まずは片手でも良いですので、好きな曲をたくさんコードを見ながら弾いてみましょう。
おすすめは、有名な曲が沢山入った「ヒットソング大全集2020年版」(ムック)を買って、自分の好きな曲をどんどんコードを押さえながら口ずさんでみましょう。
テンポについては色んな曲をやっていくうちに上げることができるようになるので、最初は自分のできる速さで大丈夫です。
片手だけでも、コードで弾ける曲が増えていくにつれ、自信がつく上に、コードで弾くこと自体がすごく楽しくなってきます。
2.ボイシングとは?
だいぶコードに慣れたところで、次のステップである、ボイシングについて理解していきましょう。
Cのコードの構成音はド・ミ・ソでしたよね?
さっと考えると以下のようなのが思い浮かぶと思います。
でも、コードの構成音から考えると、ド・ミ・ソだとこんなのも考えられますよね?
両者とも構成音はド・ミ・ソですが、最初に出てきた、1オクターブ以内におさまっているものを「クローズドボイシング」と呼びます。
逆に、後に出てきた、1オクターブ以上にまたがるものを「オープンボイシング」と呼びます。
ストリングスの音色などで弾いてみると分かりますが、
・クローズドボイシングは前に飛び出す印象
・オープンボイシングは壮大な印象
を受けると思います。
このように、どんな並べ方で和音構成を配置していくかをボイシングと言います。
3.様々なパターンとバッキングへの応用
オープンボイシング、クローズドボイシングについてはコードを覚えるのに比べて簡単なのですぐ理解できたと思います。
よく考えてみると、キーボーディストは十本の指があるわけですから、先ほどのCのド・ミ・ソで、以下の音符でも余裕で弾けますよね。
実際に音を出してみると、オープンボイシングで、どの構成音を多く弾くかで大きく印象が変わることが理解できたと思います。
なお、クローズドボイシングでドを一番低音に持ってきてド・ミ・ソと弾くのを基本形、ミを一番下にもってきてミ・ソ・ドと弾くのを第一転回形、ソを一番下に持ってきていソ・ド・ミと弾くのを第二転回形と言いますが、この用語はバンドで使う事はほとんどありません。
しかし、「C」の一番下の「ド」の音は基本ベースが弾いてくれていることを頭に置いておきましょう。
では、バッキングの一例を挙げてみます。
昔、ロックが確立されてきた当初によく使われていたパターンで、速い曲でピアノの高音の連打をクローズドボイシング使ってキャンキャン鳴らすものです。
現代ではあまり使われていませんが、懐かしめのロックサウンドを出そうとした楽曲に使うと効果的です。
スローバラードでよく使われるバッキングパターンです。
このパターンは身に着けておくととても役立ちます。
音色もピアノを選ぶと弾き語り風になりますし、ビブラホン等の柔らかい音色を選択すると奥深さが出ます。
BPM170など、早めの曲に躍動感を出す左手のパターンです。
音域的に中央部をギターにまかせて、右手でハイトーンを単音で出すのも曲としてカッコよくなります。
このように、他楽器も含めてボイシングを考えながらキーボードパートを作成していると、「この人がいると曲がすごくなる」と認められるようになります。
4.終わりに
コードを覚えて初心者を脱した後は、様々な曲のコード進行において上記のボイシング等から色々実験していくと良いと思います。
その教材として、最初に挙げたヒットソング大全集は1冊ですさまじい効果を出せる本だと思います。
また、ボイシング・バッキングのネタが増えると、ちょっとした所での弾き語りや、ピアノがあるバーなどで色んなボーカルさんと遊んでみる、なんてこともできるようになります。
ぜひ、当記事を参考にレベルアップしていって下さい。
5.【オマケ】筆者のオススメ書籍
この記事のオマケ情報として、キーボードに少し慣れた人向けに筆者が目的別にオススメする書籍を掲載します。
●かっこいいコード進行やスケール、理論を学びたい人向け
コードが読めるようになった人にオススメで、カッコイイコード進行を五線譜とコードを見ながら習得でき、理論もしっかり学べる本。CD付きです。
コードはもちろん、スケールも学べます。
この1冊をきっちりやれば、そこらへんのギタリストよりも理論に詳しくなりますし、実際に曲を弾いたり作曲する上でも大きくレベルアップできます。
●速弾きに憧れる人に
一番最初からからスケールを高速で走るだけの曲が出てきます(笑)。
ゆっくりから初めて、何度も何度も繰り返しているとかなり高速で弾けるようになりますので、この本で練習して、曲中にギターの速弾きのようにキーボードの高速ソロを入れちゃいましょう!
●キーボードで作曲していて、もう一ひねり欲しい人向け
ゲーム音楽などによくある、「すごく印象に残る」テクニックとしての転調。
転調は最後のサビ前にやるだけのものではないんです。
この本は五線譜とコードおよび解説による、2ページ見開き完結型で見やすい構成になっています。
CDが付いていて、実際の音を聴けます。使えるアイデアが満載です。
上記三冊が脱初心者~中級者向けにおすすめです。
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