結論から言うと、ベーシストに”JAZZⅢ“というピックをオススメしたい。
ジム・ダンロップの”JAZZⅢ”というピックをご存知だろうか?
殆どの楽器店やリハスタのピックコーナーに置いてある定番商品なので、この赤いヤツを見れば「あぁ!これか!」となると思う。
ギタリストに「ピック 」は必須かもしれないが、ベーシストはというと、別に無くても困らないという人が多いかもしれない。
かく言うわたしも、大抵のプレイは指弾きで対応するため、メインでピックを使うかと言われるとそうでもないのだが、1枚持っていると表現の幅が広がったり、意外なアイデアが出てくるので、ここではオススメなピックの使い方を紹介しよう。
ベース弦に容赦の無いアタックを!
“JAZZⅢ”には多数のラインナップがあるのだが、スタンダードなものは、ティアドロップより一回り小さく、ナイロン素材で、厚さは1.38ミリという仕様。
ピックの中では小柄で、厚い部類に入るため、硬くはないものの、シナりにくくできている。
よって、粒が立ちすぎるので、コードをジャーンと鳴らしたり、カッティングのような しなやかさ が求められるようなプレイには向かないなど、好みが分かれるピックなのである。
ナイロン材は、一般的なセルロース材などと比べると、割れたり欠けたりしにくいので、耐久性は割と高い。
というのも、使用頻度にもよるが、わたしは一枚の”JAZZⅢ”を5年以上使っていたことがあるからだ。
そんな”JAZZⅢ”のラインナップの中で特にオススメしたいのが、“MAX-GRIP JAZZ III NYLON”という製品である。
これはスタンダードなJAZZⅢに凹凸の滑止め加工が施されており、ズレにくく、滑りにくく、落としにくくなっている。
“JAZZⅢ”はピック自体が弦に負けないため、ベースで使うと指先に結構な振動が伝わってくる。
よって、ピックを落としたり、向きが変わってしまったりと 厄介なことが起こるので、“MAX-GRIP”と言われるぐらいの滑止めが必要なのだ。
それ故の、弦を”ぶっ叩く”ほどの容赦の無いアタックができるのは、このピックの特権ではないだろうか。
わたしがピックを使うとき
バンドで曲作りをしている時、”指弾き“と”ピック弾き“を意図して使い分けているだろうか?
ピックじゃないとスピード的に追いつかないなど、技術的なところではないく、たとえ同じフレーズでも、”指弾き”でフレーズを考えたケースと、”ピック弾き”のフレーズでは、完成形が異なってくるのだ。
両者の特徴から、原理を説明しよう。
指弾きの利点は、アタックの強弱でトーンコントロールしやすいこと。
どういうことかと言うと、指先で直接弦に触れるので、音符の長さや、出音の強さをダイレクトに調節できるのだ。
一方、ピック弾きはというと、音の立ち上がりが素早く、粒立ちが良い。
そして、テンポの速いフレーズや、16分音符などスピード感のある演奏にも安定性をもって対応しやすい。
要するに、フレーズに表情を付けることに特化したい時は”指弾き”を。
音の粒を揃えて、タイトに演奏したい時は”ピック弾き”となるので、まるで方向性が違ってくるのである。
そこでオススメしたいのは、フレーズを思いついたら、両方の奏法で試してみてほしいということ。
個人的には”指弾き”がしっくりくると思っていても、”ピック弾き”の立ち上がり方や、安定感などの要素がフレーズにマッチする場合がある。
逆に、”ピック弾き”で作ったフレーズを”指弾き”すると、独自のモタりが良いタメになって好転したりする場合もある。
また、双方をメンバーに聴き比べてもらうことで、新しいアイデアが生まれたり、楽曲の方向性の統一につながったりするので、作曲に煮詰まった時にはぜひ試してみてほしい。
なぜ”JAZZⅢ”なのか
個人的な見解だが、ベース用ピックと定評のあるトライアングル型やおにぎり型は、シナる分 弦離れにクセがあるため、指弾きメインの人が使用すると、独自のタイムラグに違和感を覚える。
一方で、ティアドロップよりも更に一回り小さい”JAZZⅢ”は、弦に接触する面が限りなく小さいため、シナりがほぼ無い。
そして、弦に負けない1.38ミリの厚みが、素早い立ち上がりを生み出す。
要するに、ピックという”物”を介してもダイレクトさが失われないのだ。
そして、前述した「弦を”ぶっ叩く”ほどの容赦の無いアタック」によって弾き出される音は、出力も上げてくれるので、ピックを使うのであれば”JAZZⅢ”を推したい。
サウンドハウスでは1枚¥70ぐらいで買えるので、スタンダードな”JAZZⅢ”はもちろん、ティアドロップサイズの”XL”や、厚み、材質違いなど自身のプレイスタイルに合ったものを探してみてほしい。
この値段で新しい発見があれば儲けもんである。
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