昭和生まれのオジサンの筆者が打ち込みを始めたのは高校生の時で、PC-9801というパソコンを使って始めました。
USBの接続口(規格)が発明される以前であり、ハードディスクが載っていないパソコンですら、30万円もするような時代でした。
インターネットも当時は全然普及しておらず、手探り状態で頑張った記憶があります。
時代が進むと共に、パソコンの性能の向上や価格ダウンも進み、現在ではUSB等で簡単にパソコンと音楽機器が繋がるため、楽器の音をすぐ取り込めたり、音楽ソフトも多種多様なものが出ています。
それに伴って打ち込みで音楽制作を行う人口も増えました。
今やバンドマンもオリジナル曲を作ったり、足りないパートを補ったりする目的で打ち込みを使用する人が多くなっています。
今回は、打ち込みをしようと思ったけど挫折した、また、打ち込みに慣れてきた頃にやってしまいがちな失敗について、事例と解決策などを記載していきます。
1.バンドマンと打ち込みについて
バンドマンが打ち込みを利用するシーンとしては「同期演奏」「曲のデモ作成」が多いのではないでしょうか。
まず、同期演奏について。
コピーバンドで編成が足りない時や、オリジナルバンドでも他の色々なパートを出したい時、打ち込みで音を足して演奏するのをよく見かけますよね。
基本的には打ち込み音源を用意しておき、ドラムはクリック+同期音源を聴きながら演奏、他のパートはドラムに合わせて演奏することが多いです。
注意事項として、コピーバンドに多いのですが「足りないパートの音を出す事」だけで満足してしまっているのをよく見かけます。
「必要な音を出す」だけで終わると、打ち込みの音だけが宙に浮いていたり、妙に飛び出していたり、本来は目立つ音が後ろに隠れていたりするので、練習時に全体のサウンドを録音したりしながら「調整」を行いましょう。
そして次に曲のデモ作成について。
曲を作る時、打ち込みでデモ作成ができると仕上がりが格段に早くなります。
オリジナル曲作成の初心者でよくありがちなのが、曲を考えた人が自分のパートだけを弾きながらみんなに聞いてもらい、みんなで少しずつ覚えながら肉付けをしていく形です。
バンドメンバー全員が学生だったり、休みの曜日が同じなど集まれる時間が多いバンドの場合、これはこれで楽しいのですが曲が仕上がるまでかなりの時間を要しますよね。
打ち込みができる場合、曲を作った人が全体のデモ音源作成をして配っておくと各自がパートをアレンジしたり練習したりできるので、スタジオ初合わせの時に既に曲が通る状態になっています。
あとはパート間で詳細を詰めたらほぼ出来上がりになります。
このように、バンドマンにとって打ち込みは「できると非常に便利」な存在であることが分かります。
2.打ち込みをしようと思ったけど挫折する原因と対策
打ち込みをできるようになりたい人は意外と多く、筆者のところに時々相談が来ます。
その時、大体こんな事を言われます。
・インターネットで調べたけれども専門用語が多くて分からない
・エフェクターにソフトがついてるのでインストールしたけれどもさっぱり分からない
・機材って何買ったらいい?
・打ち込みと自分の録音した音って混ぜれる?
このように最初の時点でコケてしまう人が多いようです。
打ち込みは用語や導入・追加できる機材の種類が多く、また音楽とパソコンと周辺機器の知識が必要なため、敷居を高く感じてしまいがちです。
しかも、打ち込みをやっている人は用語や機材の知識をガッツリ勉強している人が多いので、その人たちの発言が初心者には宇宙語のように聞こえるみたいですね。
そのため挫折してしまう人が多くいます。
挫折しかけて相談に来る人に、筆者は一冊の本を勧めるようにしています。
リットーミュージックの「できる ゼロからはじめる パソコン音楽制作 超入門(改訂版)」です。
高機能な音楽制作ソフトである「Studio one」というソフトについて、入手方法、インストールから打ち込みの基礎が図解で分かりやすく記載されています。
このStudio oneというソフトは、機能制限つきで無料で使用することができます。
ですので、基本的にはこの本とパソコンのみあれば打ち込みができるので、機材について不安を感じている初心者にとって最適ですね。
また、実際に曲を打ち込んでいく過程を本の通り真似ていくスタイルなので、一緒に進めていくうちに自然と打ち込みのやり方が分かってきます。
さらに、エフェクターなどについている機能で録音できる人向けに、打ち込みに自分の録音データを混ぜる方法も紹介されています。
この本を買った知り合いは大体簡単な打ち込みができるようになっていますので、おすすめです。
3.打ち込みを始めてしばらくした人がやりがちなこと
近年のパソコンは性能が高く、トラック数(楽器数)を大量に増やすことができます。
そのため、ある程度打ち込みができるようになった人は色んなパートを増やして、様々な動きを同時にさせます。
ここまでの説明でなんとなく分かったと思いますが、本人は沢山の音を混ぜて満足気になっているけれども、他の人が聞いたら「何が何やらわからない状態」になっている打ち込みになっていることが多々あります。
「ギターは音量がでかけりゃでかいほどカッコいい!!!」というギター初心者に似た状態が誰しも来ます。
オーケストラや吹奏楽のスコアを見れば分かりますが、沢山のパートがいたとしても、やっていること(メロや和音や裏メロ)に群分けすると、実は結構シンプルです。
また、
「ストリングスのパートは大事だし、前に出そう」
「ピアノも大事だし・・・ギターも目立たせたいし、ドラムは聞こえなかったら意味ないし」
という感じで初心者は全ての音を前に出したがります。
結果的に盛り上がりもなく淡々と進む曲になってしまいがちです。
最も前に出したいもの以外はできるだけ後ろに下げてあげましょう。
上記を読んでいただくと分かると思いますが、打ち込みは色々なことが出来ることから詰め込みすぎになる事が多いので、まずはシンプルに良いものを作成することを心がけると良いかと思います。
「ひき肉&たくあん&塩辛&ジャム&にぼし&大福。味噌で味を調えてさらにセミの抜け殻・・・」といったジャイアンシチュー(てんとう虫コミックス「ドラえもん13巻」)のようにならないように心がけましょう(笑)
4.終わりに
打ち込みができると、楽曲の幅が広がります。
最初は覚える事が多いですが、紹介した本の通りに一通りやってみて、追加でやってみたい事や良い音が欲しい場合に機材を買い足して行くのが挫折せずに楽しく学べるのでおすすめです。
さらに、シンプルでも良い打ち込みができると、自己満足ではなく人に訴えかける音楽が作成できるようになっていきます。
自身のバンドの演奏をより深く、説得力のあるものにするだけでなく、自分の音楽力向上のために打ち込みをやってみませんか?
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