ジャムセッションとはゲームである。
しかし、ゲームのルールをちゃんと理解しないと楽しめないのだ。
“セッション“というと、ノープランで演奏を楽しむものなので、初心者には踏込みにくいというイメージが一般的かもしれない。
その時、その場所、そのメンバーの化学反応によって、”何が起こるかわからないこと“を求めるので正解は無い。
すなわち、簡単なルールさえ理解しておけば誰でも楽しむことができるのだ。
ここでは、ベーシストの立ち位置から、ジャムセッションのルールと楽しみ方について記してみた。
テーマとルール
セッションのスタートは”偶発的“に始まることが多い。
誰かがたまたま演奏し始めたフレーズのルーティンに乗っかっていくというパターンだ。
この最初のルーティンを”テーマ“として認識しておくと脱線することが少なくなるので覚えておこう。
どういうことかと言うと、セッションとは“曲”にしようとしながら進行していくので、徐々に盛り上がっていったり、各ソロなどの展開に派生していく。
盛り上がりすぎて到着点がわからなくなった時は、”テーマ”にもどるように心がけることで、まとまりが出てくるし、迷子にならないのだ。
みんなが さぐりさぐり に演奏を進めていくため、どんな展開になるかは誰にもわからないし、突拍子もない方向に連れていかれることもある。
ある意味それこそがセッションの醍醐味でもあるが、予め鳴らしておいた”テーマ“に回帰することによって、曲としての調和を保つことができるのである。
演奏がスタートしたならば、走りながらでもいいので、良いエンディングに向かっていけるように調整していく努力をしよう。
これがいわゆる”ルール”というものの正体だ。
あえて空気を読まないというテクニック
ジャムセッションの現場においては、誰かが”テーマ”となりうるフレーズを鳴らし始めたら素直にのっかる!という謙虚な気持ちでいよう。
“セッション”は普段しない思考のプロセスで演奏に挑むため、ひらめきという刺激を受けやすい。
要するに、受動的であったとしても、得られるものは多いのだ。
ただ、そこで注意してほしいのが、空気を読んで演奏することに集中しすぎて、空気のように当たり障りのないプレイに徹していないだろうかということ。
これでは、失敗はしないかもしれないが、あなたの承認欲求が満たされただけである。
あえて”空気を読まない“という選択もセッションを面白くする”テクニック“のひとつなので覚えておいてほしい。
「おっ!そうきたか!」という感情を共有できた時がベストテイクなのだ。
周りの状況をよく見ながら、積極的に関わることで、うまくお互いを刺激しあおう。
必要なのはコミュニケーション能力
ここまできて意外と難しいのが、”弾かないこと“である。
たとえば、ソロのバックは極力シンプルにして邪魔をしない、というのは大体察しがつくと思うが、これがなかなか難しい。
せっかく参加しているので、爪跡を残したいというジレンマから、弾かないという選択肢がなかなか出てこないのだ。
ここで言いたいのは、なんでも自分でやろとせず、周りをよく見るということ。
“適度な余白“があることで、ひらめきや新たなアレンジにつながるということも覚えておいてほしい。
たとえそのテイクが形にならなかったとしても、得られるものがあればそれでいいのである。
ここでは音楽的な”セッション”について記したが、要するに、芸事を磨くには人との関わりが大切なのだ。
そのためにも、基本的な進行パターンや、試したいリフやフレーズを常にストックするといった、日ごろの鍛錬も怠ってはならない。
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