ギターとピアノはフォーク、ポップス、ロック、ブルースと、ジャンルを問わずに相性抜群の組み合わせです。
アコースティックギターだけでなく、エレキギターとピアノが絡み合う演奏も魅力的ですよね。
しかし、ピアノという楽器のデリケートな点は、ギターとは違い、簡単にチューニング(ピアノの場合は「調律」と呼ぶことが一般的です)ができない点。
今回はピアノとギターで合わせる際にたまに起こる調律トラブルについて解説します。
・「うん? 何か違う」
チューナーでギターをきっちりとチューニングし、ピアノと一緒に演奏を始めたはいいものの、何か双方の音程に違和感がある、という時があります。
ずれているというわけではないし、許容範囲内でもあるのかもしれないけど、何か違和感がある、という言葉にならないような微妙さです。
改めてギターをチューニングしてみても、ちゃんと合っているのに、オクターブチューニングだって合わせてあるのに、という時は、以下のステップを試してみてください
1、ピアノの調律が狂っていないかチェックする
まずは最もわかりやすいパターンです。
ピアノの調律が狂っているのです。
ピアノの調律師に依頼して直してもらう必要があります。
もしくは、少々のずれは我慢して演奏を続けるしかないでしょう。(調律師に支払う代金は10000~15000円程度です)
2、ピアノの基準音をチェックする
さて、いわゆる西洋音楽と呼ばれる、ドレミファソラシドの音階は、ラ、つまりAの周波数が基準音になります。
実はこのAの基準音は、時代と共に移り変わっているのです。
かつてはA=338ヘルツが一般的だったのですが、現在はほとんどのオーケストラが442ヘルツを採用しています。
この4ヘルツがどれぐらいの差かと言いますと、ギターのチューナーの目盛りで二つ分程度です。
現在はこのA=442ヘルツという基準が世界的に一般的になっているため、ギターのチューナーもA=442ヘルツになっていることが多いのです。
そしてピアノの調律も442ヘルツのものもあるのですが、実は不思議な事に440ヘルツで調律されているピアノも多いのです。
これは調律師によって変わってきますが、ずっと440で調律されてきた古いピアノを442に変えると、弦が張り詰めて切れてしまうことがある、というのがその理由だそうです。
さらにややこしいことに、プロの現場では441ヘルツがよく使われているのです。
・基準音をチェックする方法
まずは、ピアノの基準音をチェックしてみましょう。
ピアノのどこかに、調律師の記録カードがついていることがあります。
ピアノの上蓋を開けると挟んでいることもあります。
そこに基準音の記録が書いてあるはずです。
もし、記録カードがない場合は、ギターのクリップ式チューナーを使います。
チューナーの基準音はA=442になっているでしょうか?
ほとんどのチューナーはヘルツを変更する機能がついているはずですので、取扱説明書(紛失してしまっても、ネットで検索すると、メーカーサイトからPDFファイルなどをダウンロードできる場合が多いです)を確認し、現在のヘルツを調べておきましょう。
そしてチューナーをピアノの譜面台に挟み、Aの音をボーンと鳴らしてみます。
A=442で調律されていれば狂いなくメーターが中央に来るはずですが、441、もしくは440で調律されている場合は、やや狂っている表示となると思います。
その場合は、チューナーを441、もしくは440に設定し、再びAをボーンと鳴らしてみましょう。基準音がわかるはずです。
3、チューナーを再設定する
ピアノの基準音がわかれば後はもう簡単です。
チューナーの基準音をピアノに合わせればいいだけです。
今まで何となく感じていた違和感が雲のように消えてなくなっていることを実感できるはずです。
微妙なずれを感じる場合の原因と対処法まとめ
1、ピアノの調律が狂っている→調律師に依頼
2、ピアノの基準音とギターの基準音が違う
→ピアノの基準音を確認
→チューナーの基準音を再設定する。
さて、2ヘルツはともかく、1ヘルツの違いが気になる人はあまりいないと言われています。
もしあなたが442ヘルツでチューニングしたギターと441ヘルツのピアノとのアンサンブルに違和感を覚えたとしたら、かなりの音感の持ち主という事です。
ぜひその音感を生かし、素晴らしい音楽を演奏し続けてください。
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